IPv6のメリットとデメリット|ゲームをするならIPv6が良い?

ipv6 メリット ipv6 デメリット

この記事で分かること
IPv4とIPv6の違い
IPv6のメリット
IPv6のデメリット
IPv6の接続方式
IPoEのメリット
オンラインゲームをするにはIPv6が良い理由
IPv6でオンラインゲームをするときの注意点

 

次世代の通信規格として注目されているIPv6。

 

インターネットを使う上で、IPv6を活用するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

この記事では、IPv6のメリットとデメリットについて解説します。

 

この記事を書いた人

山本 薫

通信業界歴、約20年。豊富な知識と経験を生かし、その人に合わせたベストなインターネットライフの提案から構築までを得意としています。 回線選びは失敗続きだった自身の過去を「お客さまには同じ経験をさせたくない」との思いから、光回線のコンサルティング業に従事。 法人:ビジネスフォンやOA機器、ネットワーク等 個人:携帯電話や光回線の営業等

IPv6とは

 

IPとは、Internet Protocol(インターネットプロトコル)の略語です。

 

プロトコルとは、「目的を達成するための手順」のことです。

 

つまりIPは、「インターネット接続のための手段」ですので、インターネットに接続する際の手順やルール、仕様を表します。

 

IPアドレスは、インターネット上の住所のことで、インターネット接続されているすべてのコンピュータにはIPアドレスが割り当てられています。

 

これまでは「IPv4」が使われておりましたが、世界中でインターネットが普及したことに伴ってIPv4ではIPアドレスが不足してしまうという問題が発生し、新たに「IPv6」が登場しました。

 

IPv4とIPv6の違い

 

IPv4では約43億個までのIPアドレスを割り当てられますが、IPv6ではIPアドレスを128桁の2進数で表現するため、約340澗(かん)個と、実質無限のIPアドレスを利用できます。

 

IPv4とIPv6の違いは、冒頭でもお伝えしたbit数の違いがあります。

 

IPv6はIPv4よりもビット数が多く、膨大な数のIPアドレスを割り当てられます。

 

そして、ビット数が異なることにより、IPアドレスの長さも違うので、ユーザーにわかりやすいIPアドレスの表示にするために表記方法が違います。

 

IPv4では32ビットのIPアドレスを8ビットごとに区切り、10進数に変換して表記し、IPv6では128ビットのIPアドレスを16ビットごとに区切って、16進数で表記します。

 

また、接続方式が異なる点も大きな違いです。

 

IPv4ではPPPoEと呼ばれる接続方式を使用していて、ネットワーク終端装置を経由してインターネットに接続しますが、IPv6ではインターネットサービスプロバイダーを介して、直接接続できるIPoEという接続方式を多く採用しています。

 

中には、IPv6のPPPoE方式もありますが、使い勝手が悪いためオススメしていません。

 

IPv4ではネットワーク終端装置と呼ばれる機器を経由してインターネットに接続していて、ここにアクセスが集中した場合に、装置のスペックが足りずに通信速度が低下することがあります。

 

IPv6は直接インターネットに接続でき、回線の混雑が起こりにくいので、IPv6の方が回線速度が速くなります。

 

そのため、同じ回線、同じプロバイダを利用していても、IPv4よりもIPv6のほうが安定しており、高速である可能性が高いと言えます。

 

セキュリティ面では、IPv6には、「IPsec」という、情報の暗号化を実現するプロトコルが必須機能として実装されています。

 

そのため、データの改ざんに対する耐性や機密性が、最初からある程度担保されている状態になっています。

 

ただし注意したいのが、IPv4とIPv6では互換性がないので、IPv4を利用してIPv6が使用されているサイトに接続できず、逆にIPv6を利用してIPv4が使用されているサイトへのアクセスもできません。

 

そこで、IPv4とIPv6に互換性がないという問題を解決するために、IPv6 IPoEのプロトコルを使いつつ、IPv4ネットワークへも接続できるようにしたIPv4 over IPv6を持ちいれば両方のサイトに接続することができます。

 

ちなみに、回線事業者やプロバイダーによっては「IPv6 オプション」や「v6プラス」との商品名が付けられています。

 

IPv6のメリット

 

IPv6のメリットには次のようなものがあります。

 

IPアドレスが無限

 

IPv6はIPアドレスを128ビットで表現するため、アドレス総数は3.4×10の38乗個、つまり約340澗(かん)個となり、事実上IPアドレスの数は事実上無限となります。

 

今後IoTの普及に伴い、あらゆるものにインターネット通信機能が装備されたとしても、十分に対応できる数だといわれています。

 

セキュリティの実装

 

IPv6では、インターネット上で安全にデータの送受信を行うためのプロトコルであるIPSecの利用が推奨されています。

 

IPSecを利用することにより、暗号化をサポートしていないトランスポート層やアプリケーションを利用した場合であってもデータが暗号化されるため、通信途中でデータの傍受や操作を防ぐことができます。

 

IPv6のセキュリティの高さはIPv4と同等ですが、IPSecの利用によって改ざんや傍受のリスクが軽減されます。

 

IPoE接続の利用で通信速度が安定化

 

IPoEは「IP over Ethernet」の略で、ISP相互接続点(POI)などを通らず、通信事業者のネットワークと直接接続する方法で、企業内LANと同じやり方の接続方式です。

 

従来のPPPoE方式に比べて混雑しにくい構成となっており、IPv6でIPoE接続を利用すれば高速で安定した通信を行うことができるようになります。

 

接続設定が簡単

 

IPv6のIPアドレスは、ネットワークに接続できる機器にあらかじめ固有に割り当てられているMACアドレスという識別番号をベースに自動設定されます。

 

MACアドレスは、機器のメーカーごとの固有のベンダーコードと、メーカー内で重複しないように管理された個別のコードで構成されており、インターネット上で重複しないようになっています。

 

これにより、IPv6のアドレスは重複することなく自動で割り当てられますので、利用者はIPアドレスの設計や設定をする必要がありません。

 

DHCPネットワーク自動割り当てが不要

 

DHCPとは、「Dynamic Host Configuration Protocol」の略で、ネットワーク機器に自動的にIPアドレスを割り振るIPv4での機能です。

 

利用できるIPv4のIPアドレスの数よりも接続したいパソコンが多い場合は、ネットワークにパソコンがつながった都度、IPアドレスを期限付きで割り振ることができます。

 

IPv6では重複しないIPアドレスが自動で割り当てられるため、DHCPは不要となります。

 

IPv6のデメリット

 

IPv6のデメリットについて、説明していきます。

 

IPv4のサイトが見れない

 

IPv6とIPv4はアドレス体系が異なることから、相互に通信することができません。

 

現在はIPv4からIPv6への移行過渡期であることから、IPv6に対応していないWebサイトやWebサービスが多数あり、IPv6からアクセスすることができません。

 

しかし現在ではプロバイダーの多くが採用している変換技術「IPv4 over IPv6」を利用することで、相互に通信することが可能になります。

 

VPNやポートの開放ができない

 

VPNサービスやオンラインゲームや防犯カメラでもあるポートの開放が、IPv6ではできない場合もあります。

 

実は、IPv6も様々なサービスがあるので一部では開放ができる場合もあるのですが、設定がかなりややこしいため出来るとしても注意が必要です。

 

対応ルーターが必要

 

IPv6を利用するためには、IPv6に対応したルーターを準備する必要があります。

 

IPv6とIPv4がアドレス体系が異なることによる相互通信ができないことが原因です。

 

 

▼ 注意ポイント

現在は移行過渡期であるため、IPv6に対応していないルーターも出回ってます。

 

IPv6を利用したい場合は、お使いのルーターがIPv6に対応しているかどうかをメーカーのWebサイトで確認するか問い合わせする必要があります。

 

 

IPv6の接続方式

 

インターネットに接続する際には、IPv4とIPv6と、「PPPoE」または「IPoE」という接続方式を組み合わせて接続します。

 

IPoEに対応しているのはIPv6のみです。

 

さらにIPv6はPPPoEにも対応しています。

 

一方、IPv4はPPPoEにしか対応していません。

 

PPPoEはPPPというプロトコル(通信方式)の機能を、オフィスや一般家庭で利用されているネットワークであるイーサネットで利用できるようにしたものです。

 

PPPはもともと電話回線とモデムを使ってダイヤルアップでインターネットに接続していた時代に作られたプロトコルです。

 

ADSLや光ファイバー回線が普及してからも、このPPPをベースとしたPPPoE方式が引き続き使われていました。

 

一方、IPoEはPPPoE方式に比べて大容量で、通信が混雑することの少ない新しいインターネット接続環境です。IPoEはPPPoEよりも優れたメリットを複数備えています。

 

IPoEは、NTT東西のNGN網(次世代ネットワーク)など事業者側のネットワークと直接接続してIP通信を行う通信方式です。

 

企業内のLANなどと同じ仕組みなので、PPPoEのように接続用のユーザー名(ID)とパスワードを必要としません。

 

そのためIPoEは「ネイティブ接続方式」とよく呼ばれます。

 

一方のPPPoEは「トンネル接続方式」と呼ばれます。

 

これまで主流だったPPPoE接続方式は、もともと電話回線を経由してダイヤルアップ接続していたときのPPP方式を応用した接続方式です。

 

IPoEのメリット

 

IPoEのメリットには次のようなものがあります。

 

速度が安定

 

IPoEでは、PPPoEとは異なる次世代ネットワークと通信設備を経由してインターネットに接続します。

 

そのため混雑しがちなPPPoEネットワークを避けられ、安定した速度を確保できます。

 

また、IPoEはIPv6でしか使用できません。

 

そのため「IPv6 IPoE」を利用すればより安定した速度でインターネットが利用できることが期待できます。

 

ルーターの設定が必要ない

 

IPoE接続ではルーターに対して接続ID・パスワードなどを設定する必要がありません。

 

インターネットの使用を開始する際にアカウント登録やパスワード入力などの作業をすることなく、またそれらの管理をすることもなくすぐにインターネットを使えるので、利用者にとってわかりやすく便利な接続方法だと言えます。

 

オンラインゲームをするにはIPv6が良い理由

 

オンラインゲームをする人には、IPv6が良いと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

 

FPSやMMORPGなどのオンラインゲームを快適に楽しむには、インターネット接続環境を整えることが欠かせません。

 

オンラインゲームでIPv6がよいといわれるようになっているのは、次のような理由によるものです。

 

IPv6でオンラインゲームを楽しみたいと思っている方はこちらの記事もご覧ください。

オンラインゲームを快適にプレイするのに必要な回線速度の目安と改善策

 

ダウンロード時間の短縮

 

IPv6でゲームをプレイすると、ダウンロード時間が短縮されます。

 

その理由は、IPv6で採用されている接続方式であるIPoEは、混雑しない経路を使って通信することで通信が安定し、遅くなる要素が少なくなり、通信速度が速くなるからです。。

 

このため、オンラインゲームのサーバーに素早く接続され、サーバーからのゲームデータのダウンロード時間が短縮されます。

 

結果としてゲームの起動時間が短縮されるので、素早くゲームを開始することができます。

 

遅延が減り安定する

 

IPv6を使用すると、ゲームを安定して行うことができます。

 

遅延、つまりゲームでいうところのラグが少ないのもIPv6(IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続)の特徴です。

 

IPv6で採用されている接続方式であるIPoEは、混雑する時間帯でも通信の輻輳(ふくそう:1か所に集中し混雑する様態)が発生しにくいので、ゲーム上の動作が遅延したり、ゲームプレイ中に回線落ちしたりすることが起こりにくい特徴があります。

 

リアルタイムで対戦するオンラインゲームを快適にプレイすることができます。

 

通信回線の安定性の高さによって、回線が落ちてしまう現象が減るのもIPv6のメリットです。

 

IPv6でオンラインゲームをするデメリット

 

ネット上では「IPv6にするとオンラインゲームができなくなる」という声が見られます。

 

結論からいうと、半分本当で、半分はそうではありません。

 

どういうことなのか詳しく解説します。

 

IPv6でのプレイは対応タイトルが対象

 

まずIPv6でインターネットを行うには、アクセスするサイトやサービスがIPv6対応でなければいけません。

 

また、ゲーム機がIPv6対応であるかもポイントになります。

 

一部のオンラインゲームではIPv6に対応しておらず、IPv4のみに対応している場合があります。

 

例えば、Play Station5やXbox OneはIPv6に対応しています。

 

Nintendo Switchは公式にIPv6に対応していませんが、ほとんどのゲームが問題なく遊べるようです。

 

PlayStation4ではIPv6はサポート対象外です。

 

しかし、「IPv4 over IPv6」対応のIPv6を利用すれば、非対応のゲーム機やタイトルをプレイできることが多いです。

 

IPv4 over IPv6は「IPv4をIPv6化して通信する技術」で、これを使えばIPv6が非対応のゲーム機やタイトルがプレイできる見込みは高いといえます。

 

ただし、タイトルによってはIPv4 over IPv6でもプレイできない場合があるので注意してください。

 

サーバー公開ができない

 

MMORPGや複数人でのプレイが可能なゲームでは、自分のサーバー公開ができるタイトルがあります。

 

しかし、IPv6では自分のサーバー公開ができません。

 

サーバーを公開するには、固定IPアドレスが必要です。

 

しかし、IPv6では固定IPは利用できないため、サーバーの公開ができません。

 

IPv6で固定IPが全く使えないわけではないものの、固定IPを利用する場合はPPPoE方式で通信することになります。

 

IPv6でオンラインゲームをするときの注意点

 

オンラインゲームを快適にプレイするには、IPv6が良い理由がわかりましたでしょうか?

 

しかしながら、注意しなければならないこともあります。

 

▼ チェックポイント
・オンラインゲームの配信がIPv6規格外の場合がある
・IPv6規格に対応したプロバイダを選ぶ

 

オンラインゲームの配信がIPv6規格外の場合がある

 

オンラインゲームの配信がIPv6規格に対応していない場合もあります。

 

オンラインゲームの配信しているベンダーでは、ゲーム配信サーバやマッチングサーバをインターネットに接続してゲームの配信を行っています。

 

プレイする側がIPv6に対応していても、これらのサーバがIPv6に対応していないとIPv6でアクセスすることができません。

 

オンラインゲームがIPv6の規格に準拠しているかどうかを、ベンダーが提示している情報でチェックすることが必要です。

 

IPv6規格に対応したプロバイダを選ぶ

 

プレイする側が契約しているインターネットプロバイダがIPv6に対応している必要があります。

 

プレイする側のパソコンがIPv6に対応し、目的のオンラインゲームもIPv6に対応していたとしても、プロバイダがIPv6に対応していないと目的のオンラインゲームにはIPv4でアクセスすることになります。

 

加えて、高速で輻輳しにくいというメリットを享受するためには、プロバイダが接続方式がIPoEに対応していることも必要です。

 

まとめ

 

IPv6なら、無限のIPアドレスを利用でき、IoT時代にも十分に対応することができます。

 

さらにIPSecやIPoE接続を利用することで、安全で安定した高速通信を実現できます。

 

インターネット回線を検討中の方や光回線選びでお悩みの方は、当社までお気軽にご連絡ください。